| 2005年7月9日10:36-15:00 |
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| 【コースタイム】 南岳小屋－(50分)－ キレット最下部－(120分)－ Ａ沢のコル－(90分)－ 北穂高小屋 |
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さて、いよいよ大キレットの通過にとりかかります。 注意深く進めば大丈夫だと言う人もいれば普通の人では通れないという人もいます。 私は、「自分には無理だ」とあきらめるのが嫌だったので、挑戦してきました。 |
南岳小屋のちょっと上、獅子鼻から見た大キレットの全貌です。
これを見るまでは、ずっと行くべきかどうか迷っていました。
ここで会った人に、「時間も早いし天気もいいし、キレットに行くなら今がチャンスですよ。」と言われ、その気になったのです。
そう、自分でもたぶん通れるはず。
とにかく、行くと決めたからには、慎重さを失わずに時間がかかってもいいから安全に通過したいです。
私がそんなことを思っていた頃、後ろから写真を撮ってくれていた方がいました。
南岳小屋のご主人です。
この写真は小屋のホームページから拝借してきました。
まあこちらも後姿とはいえ、肖像権をお貸ししたのだからお互い様ですね。
一番右の黄色いレインウェアが私。
隣のお二人は環境省の方だそうです。
「今がチャンス」と言ってくれたのはそのうちのお一人です。
南岳小屋です。
束の間の晴れ間を利用して、お布団を屋根に干していました。
キレットへの入り口に掲げられた看板。
「近年これより先の大キレットでは重大事故が頻発しています。
大キレットは難易度，スケール共に日本屈指のハードなルートが続きます。
いま一度、天候・体調・装備などを確認の上、事故のないように気を引き締めて！
無事に通過されることを願います。 南岳小屋」
さていよいよ大キレットへの入り口に立ちました。
ペンキマークを頼りに下っていきます。
浮石がゴロゴロしています。
落石しないようにゆっくりと進みます。
キレットの行く手が霧に覆われてきました。
天候が崩れなければいいんですが。
こんな険しいところにも高山植物が。
たぶんこれは、色はピンクっぽいので、「ツガザクラ」ではないかと。
どんどん高度を下げていきますが、なかなか底に着きません。
こんなところですべったら、下まで落ちていきそうです。
ハシゴが出てきました。
そろそろ最下部かもしれません。
どうやら一番下まで着いたようです。
途中、雨具を脱いだりしましたが、ここまで一時間近くかかってしまいました。
やはり私には３時間で通過するのは無理みたいです。
さて、最初に出てきたピークです。
どうやってこれを越えていくのか、ペンキマークだけが頼りです。
そしてやはりこんな岩場に高山植物。
写真では「チシマアマナ」に似ていますが、はっきりそうだとは言いきれません。
キレットは飛騨側にスパッと切ったように切れ落ちてきました。
いったいこれのどこを通るのか全く見当がつきません。
黄色い花は「シナノキンバイ」、紅紫の方は「タカネシオガマ」ではないでしょうか。
こういう案内がいきなり出てくると、安心すると同時に、「このあたりが中間点かな」と憶測してしまいます。
でも、まだまだ中間点ではなかったようです。
切り立った岩場が続きます。
四肢全てに緊張感が走ります。
これまた不気味な岩場。
まあ左側にペンキマークがあるから、あのてっぺんに登ることはないのでしょう。
しかしこの先で、信州側から飛騨側へ乗越したのですが、そこで足場に足が届かずに、靴を岩の面にズルズルと滑らせてなんとか足場に乗せたのです。
乗せそこなったら転落だったでしょうね。
はいまたここで高山植物です。
これは花の色と形からして「イワヒゲ」ではないかと思います。
いきなり目の前が開けて、「Ａ沢のコル」に出ました。
地図を見ると、「長谷川ピーク」は越えて、これから「飛騨泣き」みたいです。
ということは、振り返って見たあの岩場が「長谷川ピーク」。
足場を乗せそこないかけたあの場所が「長谷川ピーク」だったようです。
「Ａ沢のコル」でしばらく休憩して、出発した途端に雨が降ってきました。
あわてて雨具を出します。
ここからはかなりの岩場の急登が続きます。
雨で岩が滑りやすくなっているので、さらに慎重に進みます。
こんな切り立った岩場にもまだ雪が残っていました。
岩場をせっせと登っていると、いきなりこんな案内が・・。
そして、上には北穂高小屋が見えてきたのです。
あれっ？「飛騨泣き」ってどこだったんだろう。
そう感じるくらいあっけなく通過していました。
山で会った方にキレットの感想を聞くと、みなさん声を揃えて「最後の北穂小屋への登りがキツかった」とおっしゃるのですが、長谷川ピークで死にかけた私にとっては、このキツさは生きている証として心地よくさえありました。
なにはともあれ、無事にキレット通過。
おつかれさまでした。
そしてじきに北穂高小屋に到着です。
乾燥室に雨具をいれて、中に入れてもらいました。
中はこんな感じで、ニ段式の大きなベッドのような居室でした。
くつろげるのは、この食堂。
下界は暑いようですが、３０００ｍの世界ではストーブが必要です。
小屋の受付兼売店です。
中央の「看板タオル」を買って帰りました。